画像診断

主治医に内緒でセカンドオピニオン

70歳代男性、肺癌およびリンパ節転移と診断

70歳代男性。肺に結節があり、詳しい検査の結果、肺癌(肺腺癌)とリンパ節転移と診断されました。

実はその患者さんは10年前にその結節を他の病院で指摘されています。その際に間隔を空けて何度かCT検査を受けたそうですが、変化がなかったため良性と判断され(通常、悪性の肺癌であれば増大します)、主治医にこれ以上の検査は不要と判断されたそうです。

患者さんは良性と診断されても少し不安が残り、その後も定期的にCTを検査することを内心では希望しました。しかし、主治医の意見に反対するようなことは言いにくく、結局主治医の判断に従ってそれ以降は受診しなかったようです。

その後、肺の結節が増大し、今回の検査で肺癌(肺腺癌)と診断され、更にはリンパ節転移も出現してしまいました。

肺癌には5年や10年の単位で緩徐に増大するものもあります

肺癌にはいくつか種類があります。その中でも今回診断された肺腺癌は5年や10年の単位でわずかに増大するもあり、通常の癌に比べて増大の速度は極めて緩徐です。

したがって、数年経過を見て変化がないから良性と判断するのは間違いであり、年1回程度での定期的なCT検査が必要となります。

肺腺癌の例。初回(A)から7年7ヶ月後(B)の間にわずかに増大しています。


主治医に知られないセカンドオピニオン

この患者さんは、もし希望通りに定期的なCT検査を継続して受けられていたら、リンパ節転移が出現する前に肺癌と診断されていたかもしれません。

そうならなかったのは、患者さんがこれ以上の検査は不要という主治医に意見に反論しづらかったことが一因にあると思います。

この患者さんのように、主治医の判断や診断に疑問を持っていても、それを主治医に伝えにくいと感じる人は多く存在すると思います。

セカンドオピニオンでも同じであり、主治医に他の病院でのセカンドオピニオンを言い出しにくい人もいらっしゃるかもしれません。

当クリニックのセカンドオピニオンの受診には、主治医が作成する紹介状は不要であり、画像データのみで受診が可能です。通常のセカンドオピニオン外来とは異なり、主治医に知られる可能性は低いです。

セカンドオピニオンは大切な患者さんの権利です。画像診断に携わっていると、病気の見落としや誤診にはしばしば遭遇し、セカンドオピニオンを重要性を痛感します。

当クリニックでは、セカンドオピニオンを通して少しでも患者さんのお役に立てるように努めたいと考えております。

引用画像 Hyun WL, et al. Long-Term Follow-Up of Ground-Glass Nodules After 5 Years of Stability. J Thorac Oncol. 2019; 14: 1370-1377.

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