画像診断

肺炎として治療されていた肺癌

肺炎の影がなかなか消えない時は、肺癌も考慮すべきです

先日、肺炎で治療中の患者さんのCTを読影する機会がありました。

この患者さんは2週間前に発熱を主訴に来院し、レントゲンで影があり肺炎と診断されたようです。抗生剤が投与され発熱はなくなりましたが、レントゲンでは一向に影が小さくならず、CTで詳しく検査をすることになりました。

CTを見ると、右肺の上葉に浸潤影(白い影)があり、肺炎でも矛盾しない所見でした。ただし、振り返ってレントゲンを見ても入院時から影に変化はありません。通常、肺炎などの炎症では短期間で良くも悪くも影が変化することが多く、その点が肺炎としては非典型的でした。

よって肺炎だけでなく、肺癌(特に浸潤性粘液性腺癌)の可能性もあることを主治医にお伝えしました。その後、更に詳しい検査が行われ、患者さんは肺癌(浸潤性粘液性腺癌)と診断されました。

画像所見と病気は必ずしも一対一対応ではありません

CTで肺炎は肺癌と区別がつきにくい場合がしばしばあります。特に浸潤性粘液性腺癌というタイプの肺癌は肺炎と画像所見が類似しています。

以下にお示しするように、両者ともCTで浸潤影を示し、画像だけでは区別が困難なことが多いです。

1. 肺炎

2. 浸潤性粘液性腺癌

 

このように画像所見と病気は必ずしも一対一対応ではなく、複数の病気を鑑別に挙げる必要があります。

そこから更に絞り込むためには過去画像との比較、他の種類の画像検査との対比、また画像以外の情報(身体所見、血液検査所見など)が大切になります。

肺癌など肺病変のセカンドオピニオンも承っております

当クリニックでは肺癌など肺の病気に関するご相談も承っております。お気軽にお問い合わせ下さい。

1. Nambu A, et al. Imaging of community-acquired pneumonia: Roles of imaging examinations, imaging diagnosis of specific pathogens and discrimination from noninfectious diseases. World J Radiol. 2014; 6:779-793.

2. John HM, et al. Radiologic implications of the 2011 classification of adenocarcinoma of the lung. Radiology. 2013; 266: 62-71.

 

 

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