画像診断

腰椎CTの落とし穴

70歳台男性、膵癌の診断

症例は70歳代男性 。心窩部痛のため受診し、CTなどの検査を行い、最終的に膵癌と診断されました。

以前のCTでも膵癌は存在しており、見逃されていました

この患者さんは慢性腰痛があり、半年前に整形外科医の指示により腰椎のCTが撮影されていました。病院にもよりますが、整形外科医は自身で骨、関節の読影ができる医師が多く、放射線科医に読影を依頼しないこともあります。

ここで問題点があります。画像に写っているのが腰椎だけであれば問題ないのですが、通常は腰椎の近くになる膵臓などの内臓臓器も一部撮影され、これらは整形外科医の専門範囲外です。

腰椎CTの例。腰椎(白の部分)の他に内臓も写り込んでいます。

振り返ってみると、半年前の腰椎のCTでも既に小さいながら膵癌が写っていました。しかしながら、放射線科医への読影依頼はなく、この時の膵癌は見逃されていました。そして残念なことに、今回半年後に膵癌が進行した状態で発見されてしまいました。

ダブルチェックやセカンドオピニオンで見逃しは防げたかもしれません

画像検査のダブルチェック(主治医と放射線科医に両者による確認)やセカンドオピニオンの重要性を痛感する事例です。

なるべく多くの画像に目を通して、重大な病気の見逃しを避けることが、当クリニックの存在意義だと考えております。

 

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