画像診断

【医師解説】脳萎縮は認知症のサイン?加齢との区別と対応

脳ドックやMRIで「脳萎縮があります」と指摘されると、不安に思う方は少なくありません。脳は加齢とともに自然に萎縮しますが、病気による萎縮の場合もあります。この記事では、年齢相応の萎縮と病的萎縮の違い、代表的な疾患、今後の対応について医師が解説します。

はじめに

脳ドックやMRI検査を受けたときに「脳萎縮があります」と言われると、「将来、認知症な

るのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。実際には、脳萎縮には加齢に伴う自然なものと病気によるものがあり、その違いを正しく理解することが大切です。

脳は加齢とともに萎縮する

・脳の神経細胞は加齢により少しずつ減少し、MRIでは脳の表面の溝(脳回の間)が広く見えるようになる。

・これは多くの中高年で見られる “年齢相応の萎縮” で、必ずしも病気を意味しない。

病的な脳萎縮が疑われる場合

以下のようなケースでは病気による可能性が考えられる。

1. 年齢よりも強い萎縮

・明らかに年齢の平均を超えて脳容積が減っている場合。

2. 限局的に強い萎縮がある場合

・海馬の萎縮:アルツハイマー型認知症を示唆。

・小脳・脳幹の萎縮:脊髄小脳変性症など運動失調をきたす病気を疑う。

診断に必要な検査

・MRIだけで確定できることは少なく、核医学検査(PETやSPECT) で脳の血流や代謝を調べることもある。

・神経学的診察(認知機能や運動機能などのチェック)と併せて診断する。

脳萎縮をきたす主な病気

・アルツハイマー型認知症

・前頭側頭型認知症

・脊髄小脳変性症

・多系統萎縮症 など

治療と経過観察

・多くの変性疾患は現時点で根本的な治療法がない。

・進行を遅らせる薬や、症状に応じた対症療法が中心。

・定期的な診察や画像検査で経過を見守ることが重要。

セカンドオピニオンが役立つとき

・「年齢相応なのか病気なのかはっきりしない」

・「認知症のリスクがあるか詳しく知りたい」

・「治療や生活でできることを確認したい」

画像診断の専門医や神経内科でのセカンドオピニオンが安心につながります。

まとめ

・脳萎縮は加齢でも自然に起こるが、病気による萎縮との区別が大切。

・年齢より強い萎縮や限局的な萎縮は病気を疑う。

・診断にはMRIに加え、核医学検査や神経所見が必要。

・根本治療が難しい場合も多く、定期的な診察・経過観察が必要。

関連記事