健康診断や人間ドックの腹部エコーで「胆管拡張」を指摘されることがありますが、原因は結石や腫瘍、手術後の変化などさまざま。この記事では、胆管拡張の主な原因、追加検査、治療の流れについて医師がわかりやすく解説します。
はじめに
腹部エコー検査で「胆管拡張」と言われると、「胆管がんではないか」と心配になる方もいるかもしれません。しかし、胆管拡張にはいくつかの原因があり、必ずしも悪性腫瘍とは限りません。ここでは代表的な原因と追加検査、治療の流れについて説明します。
胆管とは?
・肝臓で作られた胆汁を十二指腸へ流す通路。
・胆嚢、肝内胆管、肝外胆管(総胆管)から構成される。
・正常では胆管径は年齢や状況により異なるが、一般的に総胆管は8mm以上で「拡張」とされることが多い。
胆管拡張の主な原因
良性の原因
・総胆管結石
→ 胆石が胆管に落ちて詰まることで拡張。腹痛や黄疸を伴うことがある。
・胆嚢摘出後
→ 胆嚢を取った後は胆管が代償的に広がることがある。
腫瘍による原因
・胆管がん
・膵頭部がん
・十二指腸乳頭部がん
→ これらは何も胆汁の通り道や出口が腫瘍で塞がれて拡張する。しばしば黄疸で発見される。
その他
・先天性胆管拡張症(小児~若年で指摘されることが多い)
・炎症や瘢痕による胆管狭窄
追加検査の流れ
・MRI(MRCP):胆管の形態を非侵襲的に詳しく描出できる。
・CT:腫瘍や結石の有無、周囲臓器との関係を評価。
・EUS(内視鏡的超音波):乳頭部や膵頭部の腫瘍に有効。
・ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影):診断だけでなく治療(結石除去やステント挿入)も可能。
治療の方針
・総胆管結石:ERCPで内視鏡的に結石を取り除く。
・胆嚢摘出後の拡張:治療や経過観察は不要。
・胆管がん・膵頭部がん・乳頭部がん:
→ 手術(膵頭十二指腸切除術など)が基本。
→ 進行例ではステントで胆汁の流れを改善+抗がん剤。
・先天性胆管拡張症
→がん化リスクがあるため手術で胆管切除を行うことが多い。
まとめ
・胆管拡張は結石や手術後変化など良性の原因も多い。
・ただし腫瘍によることもあるため、追加検査で原因を調べることが重要。
・治療は原因に応じて、経過観察から内視鏡治療、外科手術まで幅広い。
・不安な場合は消化器内科や専門医への相談、セカンドオピニオンも選択肢です。