骨転移は疼痛が強く、骨折や麻痺を引き起こすことがあり、日常生活が大きく制限されます
癌は様々な臓器に転移しますが、骨も転移の好発部位です。骨への転移は、疼痛、骨折による日常生活の制限など多くの問題が生じます。また、脊椎(背骨)への転移は脊髄を圧迫して重篤な麻痺症状を起こすこともあります。
CTや骨シンチで見落とされる骨転移が存在します
骨転移にはいくつかタイプがあります。骨を溶かす溶骨型骨転移、骨を過剰に造る造骨型骨転移が有名ですが、それ以外にも骨梁間型骨転移という転移があります。
骨梁間型の骨転移は、骨梁という骨を支える構造の間に癌細胞が入り込むタイプの骨転移です。聞き馴染みはないかもしれませんが、それなりの頻度で起こります。骨梁間型骨転移は、転移の検索でよく用いられるCTや骨シンチではほぼ発見できず、見落とされることが多いです。診断にはMRIやPET/CTが有用です。
下記文献より、画像を提示いたします。
CT(b)では骨転移は指摘困難ですが、PET/CT(a)やMRI(c,d)では骨転移が明瞭に描出されています。
癌の術後で、腫瘍マーカーが上昇しているのにCTでは転移が発見できないという場合には、骨梁間型の骨転移が起きている可能性もあります。そのような場合にはMRIやPET/CTの施行も考慮すべきです。
Nozomi O, et al. FDG-PET vs. chemical shift MR imaging in differentiating intertrabecular metastasis from hematopoietic bone marrow hyperplasia. Jpn J Radiol. 2021 Jun 8;39(11):1077–1085.