画像診断

ゴルフ後の頭痛は注意?

50歳代男性、左後頭部痛と歩行障害で受診

50歳代男性が左後頭部痛を訴え近医を受診しました。昨日のゴルフの後から左後頭部痛があり、今朝から歩行障害が発症したとのことです。

主治医はある疾患を疑い、頭部MRIが撮影されました。

MRA(血管の画像)で、後頭部の左椎骨動脈という脳に血液を送る動脈の解離(裂けた状態)が認められます(図1;矢印)。また、拡散強調像で脳幹に異常信号があり、脳梗塞と考えられます(図2;矢印)。

図1 MRA

図2 拡散強調像


動脈の解離が左後頭部痛の原因と考えられ、解離したことで脳への血流が滞り、脳梗塞を発症して歩行障害が生じたと考えられます。

椎骨動脈解離は急な頸部の動きが原因となることがあります

では、ゴルフと椎骨動脈解離との関連は何でしょうか?

椎骨動脈解離の原因は様々ですが、急な頸部の動きが原因となって、後頚部~後頭部を走行する椎骨動脈に解離が発症することが知られています。ゴルフのスイングの際の首の動き、整体での首を捻る施術、車をバックする時の後ろを振り向く動作などが原因として知られています。

椎骨動脈解離は脳梗塞やくも膜下出血の原因となり得ます

椎骨動脈解離の怖いところは、脳梗塞やくも膜下出血を発症する可能性があることです。脳梗塞は血管が裂けて内腔の血流が滞ることで発症します。くも膜下出血は血管が裂けてそこから出血することで発症します。今回の患者さんは残念ながら脳梗塞を合併していました。

当クリニックでは椎骨動脈解離の画像診断、セカンドオピニオンも承っております

急な頸部の動きの後に生じた後頸部痛~後頭部痛は、骨・関節や筋肉などの整形外科的な疾患の可能性も十分に考えられますが、今回のように椎骨動脈解離の可能性もあります。

そして、その診断にはMRIなどの画像検査が必須です。当クリニックでは椎骨動脈解離の画像診断、セカンドオピニオンも承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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